白い夢




雨が降ってきた。

結構強い。

でも、どこか心地が良い。

優しくて、いつまでもうたれていたいと思えるような雨。

ふと前を見ると、弧猫がうずくまっている。

自然と目が合う。

オレは手を伸ばしてその弧猫を抱き上げてみる。

すると弧猫は、とても愛くるしい笑顔を浮かべ、舌を出した。

優しい雨がまだ降り続いている。

それさえも忘れて、オレはその弧猫をそっと抱きしめた…。









そんな夢を見た、雨の朝。

オレの時間は始まった。

いや、正確には、二人の時間が始まった。

オレの腕に眠っている、一人の女。

その横顔は、夢で見た弧猫のように、目を閉じたまま可愛く笑っている。

きっと、その白い夢の中で安らぎに抱かれているのだろう。

オレは甘い言葉を小さな声でそっと囁いた。

この笑顔を、ずっと守っていきたい。

そして、閉じたまぶたに、静かにKissをした。









雨はまだ降っている。

優しくて、子守唄のような、雨。

きっと今夜も、キミの夢を見れるだろう。

恋を覚え、いつかのオレの様に、無邪気に笑うキミ。

その笑顔が、オレにとってたまらなく愛しい。

オレは女の肩をそっと抱きしめた。

そして髪に接吻(くちづけ)を交わす。

瞳から涙を零させないように、優しく抱きしめる。

さァ、腕の中で眠りな。









降り続く雨はやがて、あがり、星空を浮かべるだろう。

きっと朧げな夢も、色をつけてゆく。

だからほら、白い夢から目覚めよう。




白い夢から…。










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