アドレスに覚えは無い。 誰からのものだかわからない。
だが、妙に懐かしい気がするのだが・・。
俺はベッドの中で考えた。
「イタズラだろうか・・。」
そもそも、俺のアドレスを知ってる奴はほんの一握りくらいだ。
どうせイタズラだろう。そう確信した俺は、すぐに眠りについた。
翌朝。
「・・い・・・・・お〜い・・・・・・・起きろぉぉ!!」
「うおっ?!」
ズッデーーーーーーン。
ベッドから転げ落ちる俺。
「早く着替えて!遅刻するよ!!」
幼馴染の圭だ。毎朝俺を叩き起こしにきやがる。
「ふわ〜ぁ・・」
「呑気にあくびなんかしてる暇あるの?さっさと着替えなよ」
「わかったわかった」
俺はそそくさと着替えを始める。 しかし・・
「ちょ、ちょっと!何してんの!?」
「何って・・・きが・・」
ベッチーーーーーーン。
左頬に張り手をくらった。
「さ、先に行ってるから!」
バタンッ!
強烈な音と共にドアが閉まった。
「・・・何なんだ?」
まぁいいか。遅刻するとまずいからな・・。
俺は着替えを済ませると、朝飯も食わずに学校へ向かった。
キ〜ン コ〜ン カ〜ン コ〜ン
やかましいチャイムの音が響き、ホームルームが始まった。
「朝はありがとな」
俺は圭に話し掛けた。
「何が?」
「おかげで目が覚めた。ギンギンに」
「はっ・・・どういたしまして」
「・・不機嫌のようだな」
「おかげさまで」
「褒めてるのか?」
「誰がっ!」
「お前が、俺を」
「もう一発食らう?」
「いや、遠慮しておこう」
どうやら何かが気に障ったらしい。
まぁ、コイツらしいと言えばそうなんだが。
「夫婦ゲンカだ〜!」
一人の女生徒が叫ぶ。
「ちょ、ちょっと美亜。変なこと言わないでよ」
「へっへ〜ん、目撃してしまいましたっ!」
彼女は美亜。好奇心旺盛で活発的。
子供っぽい素振りが、男子生徒に注目を集めている。
「ケンカって?」
俺が聞く。
「とぼけてもムダムダ〜! お熱い若夫婦ですこと」
「美亜〜〜」
「しょうがないじゃん、全校公認カップルなんだから。
圭ちゃんいいな〜。私も欲しいな〜」
「美亜ちゃんならすぐ出来るよ」
「アンタは黙ってて」
「はいはい」
俺にこういう会話は向いてないらしい。よって除外された。
・・・圭と美亜ちゃんが言い争ってる。
しかし俺には関係無い。止める余地無く、次の授業の準備にかかる。
放課後。
学校に残っていてもする事は無い。
俺は早々と下駄箱に向かう。
ピロリロッ ピロリロッ ピロリロッ
着信音だ。
そのとき俺は、昨日のことを思い出した。
「またイタズラか・・?」
「いつもの喫茶にいるよ〜。美亜もいるよ」
「何だ、圭か。」
素直に安心していいかわからんが・・。
まぁどうでもいいか。
俺は圭達の待っている喫茶店に向かった。
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