ChristmasScars




「フーーッ」

ヤケにタバコがマズイ。

たいてい何かがうまくいってない時ってのはそうなんだ。

「今日も…燃えたネ…」

横で悠が力尽きている。

「五回もヤりゃあな」

実際俺も動きたいと思わない。

「寒いんだから、とっとと服着ろよ」

季節は冬、裸でウロウロしてられる程気温は低くない。

つーか見てるこっちが寒くなるからやめてくれ。

「まだ…六回目が残ってるヨ?」

「アホたれ」

悠を軽くこづき、煙を吸う。

「でも、ここって普通に暖かいよね?」

「暖房入ってるからな」

「自分で持ってきたの?」

「あぁ」

「へぇ〜」

暖房器具無しにココに居るコトは不可能だ。

元々地上よりうっすら寒くて、夏は冷房がいらないくらいだ。

それで冬っつったら、寒くて当たり前なワケ。

「なんだかんだでお前結構ココに来てんだよな?」

「そうかな?」

そんくらい覚えてろ。

「昨日だって暖房つけてたじゃねぇか」

「一日経ったら忘れるモノなのヨ」

「はん」

コイツと話すのは疲れる。

「で」

時計は2時を回った。

今帰れっつっても、どんなヤツでも帰りたいとは思わんだろう。

「帰るか?」

なんとなく聞いてみた。

「………」

「おい」

「むにゃ……」

ふざけんな。

「お前、風邪引くぞ?」

返事は無い。

「やれやれだ」

俺は強引に服を着させてやった。

それでも起きやしねぇ。

「ったく」

仕上げに毛布をバッとかぶせてやる。

タバコの火は消えてた。

ボシュッ

「はぁ」

マズイったらありゃしねぇ。

「ありがと」

「はん?」

ゴロッと転がりこっちを向く悠。

実は起きてたらしい。

「最初から言えよ」

「マコト優しいから」

甘えちゃいましたってか?

「とっとと寝ろ」

「はぁ〜い☆」

思い切り煙を吐く。

「マコトは寝ないの?」

「もうちょっとしたら」

「じゃあ、一緒に寝ようね☆」

毛布が一つしかねぇんだよ。

「わかったわかった」

なんともやりきれん。

プッ…ガガッ…。

ん?

「真人」

キリンのアホがこんな時間に無線を通してきやがった。

「どうした?」

何となく気がかりではある。

「あぁ、いたのか。じゃあ今から行くぞ」

「はん?」

「話したいコトがあるんだ」

「話ならさっき終わったばっかじゃねぇか」

「それの延長線上なんだけどよ、どうしてもお前が必要なんだ」

「けっ」

コイツの脳には女しか無ぇのかよ。

「来るんだったら早く来いよ。カギ閉めるぞ」

「あぁ、実はもう一階にいるんだ」

アホか。

「だったらこっち来いよ!」

「いやなに、ピンク色の声がやたらと響くモンでね」

全部聞かれてたワケか。

「もう終わったから、とっとと来い」

俺はそう言ってこっちから電源を落としてやった。

「桐君、なんだって?」

すっとぼけたツラして聞いてくる悠。

「寝てろ」

ボシュッ

俺はもう一度タバコに火をつけた。

「フーーッ」

不機嫌極まりない。

「よぉ」

ヤケにニヤついたツラで階段を降りてくるキリン。

「んだよ?」

「毎晩こんなコトヤッてんのか?羨ましいねぇ」

「黙れ。で、延長線上を聞かせてもらおうじゃねぇか」

話など聞く気は無かったが、なんとなくやりきれないので話をそっちに逸らした。

「はっはっは!そんな機嫌悪そうにすんなよな」

実際悪いんだっての。

「やっぱりモテる男は違うってか?」

「アホたれ」

俺はタバコを投げ捨て、軽く踏み潰す。

「で」

キリンがタバコに火をつける。

「捕まえてきたぜ」

「何をだ?」

「おいおい、そりゃねぇよ」

キリンは面食らったように思い切り煙を吐く。

「例の女だよ」

「女神様か」

「そういうコト」

「よくナンパ出来たな?技術も無いクセに」

「はっはっは!言うねぇ」

「余計なコトはいいから首尾だけ言えって」

「へぇへぇ」

キリンは二回ほど煙を吸い、吐き、つと真顔になる。

「明日の15:00、ココに呼んどいた」

「はん?」

「それだけだ」

「それだけってお前、それだけ言ってのこのこ帰ってきたのか?」

「そうだ」

その自信満々の顔はやめろ。

「別にいいだろ?俺とお前の、二人の場所なんだし」

「そりゃ構わねぇけど、その女神と俺とどう関係を結びつけるワケよ?」

「ズバリ、俺のフォローをしてもらおうか」

「はん?」

何でこんなケツの汚ねぇクソキリンの後ろを持たなきゃいけねぇんだ。

「俺はボランティアは嫌いなんだよ」

「話くらいだったらいいだろ!?俺は口下手なんだぞ!」

どうしてそこで怒るのかがわからない。

「わかったわかった、とりあえず今の話をまとめてくれ」

「あぁ、えーと」

「要するにぃ、ハマ高の女の子とここで遊ぶってコトでしょぉ?」

厄介なのが混じってきた。

「三菱も一緒にどうだ?」

「アホたれ。コイツは帰らすよ」

「えー楽しそうー」

ぶーぶー言う悠。

「じゃあ、千佳ちゃんと三菱と俺と真人の四人だな」

「はん?」

千佳ちゃんってのは女神さんの名前か?

意外とキリンの野郎、やるコトはやってんじゃねぇか。

「わー決定ー☆」

「待て待て、ちょっと待て」

「何だよ?」

「その女神さんは、一人でこの学校に来るのか?」

「まぁ、そういうコトになるな」

「はぁ」

究極のアホを見てしまった。

肝心なコトをやってねぇ。

「え?なんだよ?何か悪いトコでもあるのか?」

「どこのバカが、一人で他校の敷地内に乗り込んでくるんだよ」

それにそいつが女ときたら、両親の仇を取るくらいの勢いじゃなきゃ来れねぇわな。

「別に大丈夫だろ?」

「大丈夫なコトなんて無ぇよ」

俺はタバコを取る。

ボシュッ

悠が火を付ける。

「女神さんが校門に来るまでに、五人くらいにヤられんだろ」

皮肉を言い放ってやる。

「そこはアレだ、お前の権力で何とかしろよ」

命令形なのがムカつく。

「あのなぁ、そもそも俺は乗り気じゃねぇ上にどうでもいいんだよ」

「親友が困ってるんだぞ?」

「マコトちゃん、お願い!」

悠が懇願してくる。

「あーうるせぇなぁ」

ただでさえムカついてんだ。

なのにどうして更にムカつくコトをやんなきゃいけねぇんだよ。

「お前が一言言えば、ココのヤツ等は全員黙んだろ?」

「そんなコトしたくねぇよ」

「一生に一度のお願いだよ、マコトちゃん!」

悠はどうせ何もわかっちゃいねぇ。

ただ大事そうな話っぽいってだけで、そういう言葉を使うだけだ。

それに一生に一度の願いはもう七度目だ。

「顔見て追い返しても文句言うなよ?」

「おぉ、それじゃあ」

「やってやるよ、仕方ねぇ」

どうせマイナスになるとわかってても、コイツ等は引かねぇんだ。

いや、そう思ってるのは俺だけかもしれない。

どいつもこいつもクソばっかりだ。

「そんじゃ今日は早めに寝ますか!」

キリンはそう言うと、毛布にもぐりこんだ。

「桐君も一緒に寝る?」

「おう、明日は早ぇーからな!」

何だ、そのテンションわ。

「マコトちゃんもおいでー!」

「アホ!お前がマコトちゃんとか言うな!!」

キモイったらありゃしねぇ。

「フーーッ」

タバコを指で潰し、俺は電気を落とした。

「うぉっ、真っ暗だぞ!」

キリンが叫ぶ。

「キャー☆」

悠も叫ぶ。

「うるせぇ!!寝ろ!!」

なんともやりきれん。

大体そのリアクションは何回目だ。

「修学旅行を思い出すねぇー♪」

「興奮するよな、こういうの」

「はん」

俺等は三人で一つの毛布を使い、仲良く眠った。

けっ。




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