ChristmasScars




「…ん?」

ポケットで携帯が唸っている。

「あぁ、そうか」

アラームを7:00に設定してたんだ。

「くっ…」

寝た状態だが、思い切り伸びをする。

「痛ッ」

拳に何かが突き刺さる。

見ると、キリンの腰辺りにぶつかったみたいだ。

「何が入ってんだ?」

あんまりめくりたくなかったが、シャツをどけて確認してみる。

ベルトのトガッた部分が突き出てる。

「はん」

俺は立ち上がり、さりげなくキリンの頭を蹴飛ばす。

「ぬ〜ん…」

やかましい。

ボシュッ

「フーーッ」

起き抜けの一服。

最悪だ。

「……」

なんとなく小腹が空いたので一階に行ってみる。

「ん?」

そういえば最近買い出しに行ってないコトに気付いた。

何も無ぇんじゃねぇか?

とりあえず食料専用の棚の引き出しをあけてみる。

「あれ?」

随分とまぁ食料が、それも有象無象に詰め込まれてやがる。

「こんな買ったっけ?」

しばらく考えてみる。

「そういや悠に任せてるんだっけか」

勝手にいつも買い込んできやがるモンだから、俺が買う必要が無くなったんだよな。

…何で忘れてんだろ、俺。

「ヤバイな」

月に一回くらいはこういうのがあるんだ。

痴呆症なのかね。

「んなワケねぇ」

食料を抱えてとっとと出るコトにした。

「つってもアイツ等まだ寝てるんだろうな」

三人分持ってったトコで食うのは俺しかいねぇってのはどうよ。

まぁ叩き起こせばいいか。

「がぁぁぁ…ごぉぉぉ…」

俺はコイツのいびきが大嫌いなんだ。

怪獣を気取ったかのような、地響きにも似た音。

「キリン、起きろ」

背中をペシペシ蹴ってやる。

「がぁぁ…う…あ…?」

マヌケめ。

「起きろっつってんだ」

恥骨の辺りを軽く蹴る。

「ぬぁっ!?」

「メシだ」

「あぁ…あ?」

俺はキリンの寝起きの顔が大嫌いなんだ。

「辛気臭ぇ顔してんな」

「悪かったなー……で、朝はなんだ?」

しっかり聞こえてんじゃねぇか。

「テキトーに食え」

おにぎりやらパンやら、あんまり物持ちしないヤツを持ってきた。

それらをキリンに投げつける。

「まぁ、な」

何納得してんだか。

「おい」

次はあのお嬢さんだ。

「くぅ〜…くぅ〜…」

確かコイツは蹴っても蹴っても起きやしなかった。

ともすりゃ、これしかねぇ。

「おら起きろ!」

俺は悠の股間に指を突っ込む。

昨日の熱が冷めないのか、未だに熱さが残る。

それでもあまり反応が無いので、入り口をこじ開け、奥まで指を突っ込んだ。

「………」

俺を怒らすには十分だ。

「オラオラァ!」

その状態で中指と人差し指の第二関節を曲げ、Gスポットをこすってやる。

「ひゃっ!!?」

ビクンと上体をうつ悠。

「とっとと起きろ」

俺は強引に指を抜いた。

「あっ、も、もっとぉ☆」

「はん?」

開いた口が塞がらない。

「…もう終わり?」

物憂げに悠が言う。

「アホたれ。起きりゃもういいんだよ」

「じゃあ寝る」

そう言って布団に潜り込む悠。

「お前はナニがしたいんだ!?」

「ナニがしたいの♪」

真性のアホだ。

「キリン、やってやれ」

「おーいいのか?」

「好きなだけヤッてくれ」

「おっしゃぁー!!」

キリンは食べかけのパンを放り出すと、悠の領地を侵しに行った。

もとい、犯しに、だな。

「きゃん☆…って、桐君!?」

「呼ばれてやってきたよ、ハニー」

「マコトちゃんじゃなきゃイヤよ☆」

「その割には嬉しがってんじゃねぇか」

「あーれぇー♪」

ドガッッ!!

俺は変態ニ匹が潜む布団に向かって学習机をブン投げた。

「いつまでも変態やってんな、アホ」

俺は具の入っていないおにぎりを口に含んだ。

…走る静けさ。

よく見れば、机の下からはピクリとも音がしない。

「なんだ、一緒にイッちまったのか?」

ものすごい皮肉をブツけてやる。

「痛ぇ……」

ドスのきいた低音が響く。

こりゃキリンがキレた合図だ。

「すげぇ痛ぇよ……」

「気のせいだろ」

軽く促してやる。

「気のせい?」

「寝ぼけてんだろ。とっとと起きてメシ食えよ」

「そうか」

俺はキリンの単純さが大嫌いなんだ。

張り合いもクソもありゃしねぇ。

「おら悠、お前もとっとと起きろ」

「ふぁ〜い」

「ところで、メシはなんだ?」

「さっき渡した…」

そういえば忘れてた。

コイツの胃袋は底が無ぇんだ。

「俺、ラーメン食いてぇなぁ」

「あ、私も食べたい!」

「朝からか?」

特に否定する気は無ぇんだけど、なんとなく聞いた。

「ふっ、お前さん、ラーメンの真髄を知らないね」

キリンがぼやく。

「はん?」

「朝起きてすぐの一杯。コレに尽きるぜ」

「うわぁーじゃあマコトちゃん早く用意して☆」

形勢逆転だ。

別にラーメンなんて、朝どころかしょっちゅう食ってたし。

「ただ、あったとしてもカップラーメンなんだよな」

そもそもお湯を沸かすのが面倒だから、ラーメンなんて買ってねぇ気がする。

悠が買ってりゃいいんだが。

「カップでもいい。早くしたまえ」

キリンが首を長くして言う。

……アホか。

「私とんこつがイイナ!」

「はいはい」

「あぁキミ、私はいつものでいいぞ」

「テメェにはたわしでも入れといてやる」

10分後、俺はお湯をぶちまけたカップラーメンを三つお盆にもってきた。

「ほらよ」

悠にとんこつ味を渡す。

「アリガト☆」

「つーか、お前が買ったの、コレ?」

「うん♪食べるかなぁーって思って」

「余計なコトを」

「俺のはどっちだ?両方か?」

キリンがよだれを飛ばし言ってくる。

「汚ぇな。ほらよ」

「サンキュ…って、オイ!!」

キリンはカップの中に入ってるたわしを投げ捨てた。

「あ〜あ、もったいねぇ」

「食べ物を粗末にしちゃダメだよ!」

「たわしは食べ物じゃねぇ!ていうか本当に入れてきやがって…」

コイツは食いモンのコトに関するとうるせぇんだ。

無駄にな。

「マコトちゃんはナニ味?」

「何でもいいだろ」

「ベーシックなしょうゆ味か」

たわしスープを口に含みながら言うキリン。

「汚ぇなぁ」

「気にしなきゃいいんだよ」

コイツわ。

「もう食べてもいいの?」

悠がカップのフチを割り箸で叩きながら聞いてくる。

「いいんじゃねぇの?」

適当に答えてやる。

「じゃあ、いただきまーす☆」

「よっしゃ、俺も食うぜ!」

「黙って食えよ」

悠がチュルチュルと大人しく食べている反面、キリンは豪快にかっ喰らう。

結構汁が飛んできてムカつく。

「あーうまかったぜぇー!」

キリンはカップを投げ捨てる。

「ゴミ箱に捨てろよ」

「後でな」

そう言うとキリンはタバコに火を付け始めた。

「いい加減ここも掃除しなきゃだな」

見渡す限りゴミしか無ぇこの部屋。

大量に虫が巣食ってそうだ。

「そうだよ!!」

突如キリンが叫ぶ。

「はん?」

「ここ片付けねぇとだよ!!」

そう言うと、キリンは慌しく階段を昇っていった。

「どしたの?」

「さぁね」

大方、女神さんが来ても大丈夫なように、部屋をキレイにしておこうってトコだ。

もっともそんな簡単に片付く規模ではないが。

「今日の授業何だっけ?」

不意に悠が聞いてくる。

「俺に聞くな」

割とマジメに出席している悠に比べて、俺は学校なんてマトモに行っちゃいねぇんだ。

「昨日確認しなかったの?」

「今日行くって決めてなかったからな」

「あきれた」

「元からだろ」

「それもそうね」

そう言われるとなんだか腹立だしいモノがある。

どうでもいいけどな。

「じゃあ今日は行かないんだ?」

「気が向けばな」

「おいでよ!私つまんないんだもん」

「じゃあ行かねぇ」

「天邪鬼ね」

「難しい言葉を知ってるな」

「えへへ〜☆」

ダメだこりゃ。

「おい」

いつの間にか近辺を片付け始めたキリンに声をかける。

「あん?お前も手伝えよ」

「後でな。学校行くか?」

「バカ、掃除が先だろ」

要するに女が先なんだろうが。

「そういうワケだ」

俺はタバコをくわえ、静かに立ち上がる。

ボシュッ

「じゃあ終わったらまた来るね」

それに火をつけた悠はバッグを手に取る。

「おー!またなー!」

キリンが叫ぶ。

「じゃね☆」

悠はゆっくりと階段を昇っていった。




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