ChristmasScars




昼頃。

5時間程部屋の片付けに専念した俺とキリン。

学校にも行かずに何やってんだか。

「おい、ゴミはこれで全部か?」

ゴミ袋を12個抱えたキリンが言う。

「あぁ。あ、ちょっと待て」

俺はビニール袋に灰皿を入れた。

「地面にもやたらとタバコが転がってんな」

「真人が吸った分だろ?全部」

「知らんな」

灰と吸殻で満たされた袋をキリンに投げる。

「じゃあ捨ててくるわ」

「あぁ」

キリンは階段を昇っていった。

ボシュッ

「ふぅ…疲れたな」

閑散とした部屋でタバコを吸う。

特に気持ちがイイモンでもない。

「そろそろメシ時か」

朝食ってから大して時間が経ったとは思えん。

「行ってきたぜ」

「お疲れ」

キリンもタバコに火をつける。

「どうよ?キレイなモンだろ」

キリンが笑顔で言う。

「お前一人でやったんじゃねぇだろ」

「へへっ、まぁ元からこんくらいの勢いで使えってこった」

確かに、実際キリンはココにいつもいるワケでもないし、むしろ散らかしているのはほとんど俺だ。

だからどうってワケでもねぇけど。

「そろそろメシだな」

キリンも同じコトを言う。

「何か食いたいモンあるか?」

何となく聞いてみた。

「そうだな、たまにはお前の食いたい物でいいよ」

言われて気付いたが、メニューはたいていコイツ任せだった。

俺が特に食いたいモンが無いからだけどな。

「何でもいいよ」

「たわしでもいいのか?」

ちゃっかり根に持ってんじゃねぇか。

「朝はラーメンだったから、昼はサッパリしたのがいいな」

別に三日三晩同じモノでも俺はいいんだけど。

第一食えば変わんねぇじゃねぇか、メシなんて。

「出前でも取るか?」

「はん?」

どうもコイツはココを自分の家だと勘違いしているらしい。

つーかそうでないと相当困る。

「出前なんか取れねぇよ」

「何でだ?」

「ココは地下だろうが」

「あぁ、そっか。じゃあどうしようか?」

俺はキリンのサッパリ加減が大嫌いなんだ。

「あるモンでいいだろ」

「何がある?」

「おにぎりとパンだな」

「またそれか」

「ぶつくさ言うな。それしかねぇんだよ」

「じゃあ外行かねぇか?」

そろそろ思いつきで喋るのをやめてもらいたい。

「何処に、何を食いに行くんだよ?」

「その辺歩ってりゃ何かあるだろ」

「…そうだな」

妙に納得してしまった。

思えば俺はずっとここにいるから、外の空気を全く吸っていない。

タバコも蓄えてあるから買いに行かなくてもいいし。

何だか胸クソ悪いトコがあるから、たまには気分転換に出かけるのも悪くないだろう。

「じゃあ決まりだな」

「あぁ」

俺とキリンは同時にタバコを投げ捨てた。

そしてそれを踏み潰す。

「そういや、長いモンな」

俺はふと口を開く。

「何がよ?」

「いや、キリンとのコンビ」

「だな。5年くらいか?」

あんま長くはねぇか。

「5年も付き合いやってりゃ、自然と息も合うってモンだわな」

笑いながら言うキリン。

「そんなモンかね」

内心俺も笑っていた。

何だかんだ言っても、コイツは俺の理解者だし、俺もコイツを熟知している。

嫌いなトコも全部言えるから、イイトコが輝くんだろうな。

…ガラじゃねぇ、やめだ。

「そんじゃ行きますか!」

キリンは気合を入れたのか、少し大きめな声で言う。

「あぁ」

俺もほんの少しだが、それに応える。

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太陽が眩しい。

思ってみれば地上に出るのも約三日ぶり。

薄汚れた体が沁みるってモンだ。

「で、何処に行く?」

俺はまず切り出した。

「駅とかウロついてりゃ、何かあるだろ」

キリンは相変わらずサッパリと言う。

なんだかねぇ。

「誰か誘うか?」

校舎の方をチラ見しながら言うキリン。

「そうだな」

別にどっちでもいいというのが本音だ。

が、何となく集まりたいとも思った。

…小学生か俺わ。

「誰かいるかね」

キリンは背伸びしたり目を細くしたりして知り合いを探す仕草をする。

「携帯を使えばいいだろ」

見ていてバカバカしい。

「面倒だからよ、まぁ居なきゃ居ないでいいしな」

どこまでサッパリだ。

「おい、アイツ」

つい先程朝飯を共にした者が輝いた瞳でこっちを見ている。

「アイツはいらん」

毎日イヤになるくらい顔を合わせているから、たまには違うヤツがいいだろう。

「でもこっちに走ってくるぜ」

勢いの無い走り方。

ソレに形容すべき言葉は…そうだな、"てけてけ"といった具合か。

…アホらしい。

「マコっちゃぁ〜ん!」

甲高い声が響き渡る。

「行くぞ」

俺はイヤになって逃げ出そうとする。

「いいのか?」

「構わん」

俺とキリンは、悠が追いつく前にさっさと行くコトにした。

「待ってよぉ〜一緒にご飯食べようよぉ〜!」

良く聞けばムカつく声だ。

どうして朝も昼も晩も同じヤツと同じメシを食わなきゃいかんのだ。

まぁそりゃキリンも一緒か。

「そうだな」

俺はつと立ち止まる。

「どうした?」

キリンが言う。

「どっちにしても同じだよな」

思えば悠がついてくるコトに不満は感じない。

そこにはただ、よくある光景があるだけ。

「まぁ、そりゃそうだわな」

納得するキリン。

珍しく物分りが良い。

「何処行くのぉ?」

やっと悠が追いついた。

「外にメシ食いに行くんだよ」

妙に笑いながら答えるキリン。

「じゃあ行こっ!」

このパターンだ。

わかりきってるが、それが逆に何とも言えず。

そう、悪くないだけ。

良くもなければ悪くもない。

「………」

いつになくフケってる俺。

何だか考えるコトがバカバカしくなってきた。

「どした?」

キリンが聞いてくる。

「いや。行こうか」

あくまで冷静に促す。

「ねぇねぇ、ナニ食べに行くの?」

「とりあえず駅前行って探す感じだな」

「駅前だったらオイシイお店知ってるヨ!」

「マジか?じゃあそこに行こうぜ」

「うん!」

「それでいいべ?」

キリンが俺にフッてくる。

「あぁ」

俺はそれに答える。




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