ChristmasScars




「ちょ、待ってくっさいよ」

「はん?」

校門を抜けようとした俺に、誰かの声がかかる。

「鎖屋サン、買い物ですか?」

「俺等も行きますよ」

一個下の御剣-みつるぎ-と重成-しげなり-だ。

「丁度イイトコ来たわ」

「なんスか?」

「お前等、一年と二年に幅利くだろ?」

「えぇ」

「今からハマ女子のヤツが一人で来ても、手ぇ出すなっつっといて」

「ハマ女子スか?何かあったんスか?」

「まぁな」

「鎖屋さん、ハマ女子は最近イイ噂聞かないですよ。大丈夫ですか?」

「大丈夫だろ。一応俺とキリンが居るから、何かあったら言ってくれ」

「わかりました。それで、これから何処に行くんです?」

「一応そいつを迎えにな。もし俺が見つけらんなかったら、頼むぞ」

「えぇ、任せて下さい」

「あぁ、あと三年の尾原-おばら-いるだろ?」

「あー今日は休みみたいスよ」

「何だよ。じゃあ順汰-じゅんた-は?」

「あ、いるっスよ。さっきまでヤクキメてたみたいですけど」

「使えねぇなぁ。まぁとりあえず順汰に、三年にも言うように言っといてくれ」

「おっけーっス」

「じゃあな」

「お疲れーっス!」

「お疲れ様です!」

そういえば最近地上に出るコトがあんま無かったから、

校内の連中が何やってるか、全く見当がつかねぇな。

御剣にしても重成にしても、前見た時より、何か余裕みたいなのもあったし。

何かが動いてんのか?

…って、俺が何も知らないだけか。

テレビも新聞も見ねぇモンだから、情報がサッパリだ。

自慢にもなりゃしねぇ。

「はん」

どうでもいい限りだ。

そうこう考えてる内に、いつの間にか駅前にまで辿り着いていた。

「ちょっと早いな」

時間的に、あと30分は余裕がある。

つっても本当に来るのかね?

散々来ねぇ来ねぇって言っといてなんだけど。

これで来なかったら、俺は一体ここに何をしにきたってんだ。

第一、御剣達に忠告は言っといたワケだし、

わざわざ駅前にまで来る必要も無かったんじゃねぇか?

…こういうのを、後の祭りってんだな。

でもまぁ、実際興味が全く無いワケでもねぇ。

良くない噂があれば逆に気になるし、

キリンにしちゃ珍しい反応を示した"女神さん"とやらに、

直接触れてみたいってのもあったワケだ。

「あ……」

駅の階段から、何だかそれっぽいヤツが降りてくる。

そいつは俺の制服を見つけると、こっちに向かって歩いてきた。

キリンの言ってた通り、茶髪の美形、というような言葉でしか形容出来ない。

つまり、まさに女神といった具合か。

近づいてくるにつれて、彼女の眼元がハッキリしてくる。

特に化粧をしてるワケでも無さそうだが、とにかくくっきりとした顔立ちだ。

まぁ普通に美人系と言ったトコロか。

女神って言うくらいだからもっとすごいヤツを想像していたが、

何のコトは無い、普通の女子高生だ。

一瞬にして興味が失せた。

「あの」

その女神さんとやらが、俺に向かって口を開く。

「アンタが女神さんか」

「え?」

「こっちだ」

そう言って俺は先に歩き出す。

また、女神さんも何も言わずについてくる。

ガッカリだ。

写真写りの良いメル友じゃねぇんだから。

「ねぇ」

ふと立ち止まり、聞いてくる。

「あなたパシリ?」

「はん?」

今コイツ、何て言った?

「だって迎えに来たんでしょ?」

「まぁ、そうだな」

「じゃあ、あのごつい人のパシリなんでしょ?」

俺は何も言わずに歩き始めた。

こんなに不愉快なのは初めてだ。

何が嬉しくて初対面の女に"パシリ"なんて言われなきゃいけねぇんだ。

しかもキリンのときたら。

「ちょっと、聞いてんの?」

この高慢っぽい態度も増々ムカつく。

「うるせぇなぁ。黙ってついてこい」

「な、何よその態度!」

「俺だって好きで来たんじゃねぇんだよ」

まさしくそうだ。

いや、ウソになるな。

興味があって迎えにきたワケだし。

まぁどうでもいい。

「あなた、パシリのクセに生意気よ!」

「誰がパシリだ!」

クソムカつくコトを平気で言いやがるなコイツ。

次何か喋りやがったらブン殴ってやろうか?

「え、パシリじゃないの?」

今更。

「ふざけんなよ」

「じゃあ何で迎えにきたのよ?」

「…どうだっていいだろ」

「良くないよ!答えて!」

こういう女は一番嫌いだ。

何だってテメェ如きに答えを導いてやんなきゃいけねぇんだ。

「じゃあお前は何で来たんだ?」

「え?だって、楽しいコトがあるって言うから」

テメェは5歳児か。

「じゃあ何か、マリファナパーティが楽しいって言ったら、

 お前は喜んで参加すんのか?はん、ケツでも磨いてろ」

「そんなワケ無いじゃない!」

何が女神だ。

フタを開けりゃ、単なる高飛車女じゃねぇか。

どこにだっているクソ女じゃねぇか。

コイツなら男にセクハラされたぐらいで泣きながらチクりそうなモンだ。

「着いたぜ」

俺は校門を通り抜け"地下屋敷"に向かった。

一応誰にも見られてなかったみたいだ。

「え、ここ?」

「帰るなら帰れよ」

本音も言いたくなるさ。

「別にあなたに会いに来たんじゃないんだから」

「はん」

30分くらいしたら、本当にお帰り願うしかねぇな。

俺の神経が持たねぇよ。

「ほら、とっとと降りろって」

「こんないびつな階段、早く降りれるワケないじゃない」

確かにまぁ、所々大きく欠けたりはしてるが、コイツに言われると腹が立つ。

つーか文句ばっか言いやがって。

「誰もいないじゃない」

「そこじゃねぇ、二階だ」

俺はとっとと階段を降りてしまう。

「ったく、厄介なモン迎え入れちまったモンだ」

「え、何か言った?」

"他称"女神が俺の後ろに立つ。

「何でもねぇよ」

コイツとはとことん気が合わねぇだろうな。




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