出会いと別れ




家に着いた俺は、風呂に入った後、

真っ先にベッドに潜り込んだ。

「圭が引っ越すのか・・・」

何故かその事が頭から離れない。

・・いや、それ以前に気になっている事がある。


ピロリロッ ピロリロッ ピロリロッ



「アナタに会いたい・・・」


一体誰からのメールだろうか。

返信するには気が引けるのだが・・・。

どうしたものだろうか。


そうこう考えているうちに、俺は深い眠りに落ちた。






「起っっっっっっっきろぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜!!!」

「うおっ!?」

ドッシーーーーーン

ケツから落ちた情けない俺。

「毎回毎回これじゃ困るな〜、どうしてもっと早く起きれないの?」

「・・メンドウだったら来なくてもいいが」

「何言ってんのよ、来てあげてるんでしょ」

「というか迷惑だから来ないでくれ。それじゃ」

圭を軽く促し再び安眠につこうとする。

がしかし、

「そっちがその気なら、こっちにも手段があるんだからね!」

俺は動じない。

「せぇぇぇぇのっ!!」

上空から黒い影が舞って来た。俺の視界を奪う。

「ぐわっ!!」

ズドォォォォォォォォォーーン

な、何が落ちてきたんだ??

それに加えて、

「てりゃぁぁぁ!!」

ズッシィィィーーーーン

「へへへ、どうだ参ったか?」

「お、重い・・・苦しい・・・・」

特に圭が。

「じゃあさっさと着替えて学校行く準備しなよ」

「と、とにかくそこをどいてくれよ」

「はいはい」

楽しそうに場所を移る圭。

最初の黒い影の正体は人形だった。

重りがたくさん入った。

「さて、着替える・・・」

ベッチーーーーーーン

「も、もう知らないっ!」

バッターーーン

さて、着替えるから外に出ててくれ、と言おうとしたのに。

俺はつくづく勘違いされやすい人間なんだな。

というより、アイツの手が早すぎるのだが。


俺は着替えを済ませると、外に出た。






学校内。

相変わらずチャイムの音が脳に響く。

ガラガラガラガラッ

俺は席につこうとした・・・・が、

「グッモーニン!」

「ん、おはよう」

美亜ちゃんが俺に話し掛けてきた。

そして俺の席を奪う。

「ねぇねぇ聞いた聞いた?」

「何を?」

「今日転校生が来るってコト!」

「ふ〜ん・・今時珍しいな」

「ふ〜ん・・って、興味無いんじゃ無いんでしょ?」

「・・何か日本語おかしくないか?」

「そんなのはどうでもいいのっ!」

決して良くは無いと思うのだが。

「ちょっと期待してるでしょ〜?男か女か」

「そうだな・・別にどっちでもいいんだが」

「あ〜もうっ、つれないなァ〜」

「来たらわかるだろ」

「そうじゃなくって!」

何がいけなかったのだろうか。

「じゃあさ、賭けしようよ」

「賭け?」

「男か女か♪」

「まぁいいけど。じゃあどっちが先に選ぶ?」

「ジャ〜ン ケ〜ン・・」

あ、聞いてないな。

「ポンッ!」

美亜ちゃんはチョキを出している。

俺はグーを出している。

すなわち、俺の勝ちだ。

「ちぇ〜、まぁいいや〜。それで、どっちだと思うの?」

「そうだな・・・じゃあ男で」

「ブッブー、正解は女の子でした〜!」

「あ、そうだったのか・・」

・・・ん?

何で正解を言えるんだ?

「何でわかるの?」

「うっ・・・それはぁ、美亜お腹痛くって・・・」

「それは関係無いだろ。やっぱり最初から知ってたんだな?」

「ピ、ピンポンピンポ〜ン!大正解!!」

「あのなぁ・・」

とすると、転校生は女なのか・・・。

「どう?ちょっと嬉しい??キャーー、圭ちゃんに言っちゃお!」

ガラガラガラガラッ

美亜ちゃんは風のように去っていった。

「まだ何も言ってないのに・・」

俺の言葉は空しく響いた。






ガラガラガラガラッ

「きり〜つ、れぇ!」

朝のホームルームが始まった。

「えー、今日はみんなご存知かもしれないが、転校生がやってきた。仲良くするように。えー、じゃあ入ってきてくれ」

「待ってました〜!」

美亜ちゃんが叫ぶ。

「どんな子だろうね〜?」

圭も叫ぶ。

ガラガラガラガラッ

そこに現れたのは、見た目清楚で、穏やかな雰囲気をもった女性。

高校生と呼ぶには惜しいくらいの。

「えー、じゃあ自己紹介を」

「は、はい。あ、あの、私、山口 幸恵って言います。さ、幸恵って呼んで下さい。よ、よ、宜しくお願いしますっ!」

極度に緊張してるのが丸見えなんだが。

やはり転校生の初日はこんなもんなのだろうか。

「えー、じゃあ席は・・・」

結果、俺の隣ということになった。

まぁ、空いてるのはココしかないし、しょうがないだろう。

「あ、あの・・」

「ん?」

「よ、よろしく・・」

「あぁ・・」

と、そこに

「ヤッホー!あたし美亜、こっちがオテンバの圭、ヨロシクね〜!!」

「美亜、オテンバは余計よ」

「だってそうじゃん」

「まぁ二人とも落ち着けよ」

「アンタは黙ってて!」

「はい」

おとなしく従う俺。

「フフッ・・・」

幸恵さんがかすかに笑っている。

「何がおかしいんだ?」

俺は間髪入れず聞いてみる。

「いえ・・その、面白い方々だなって。あ、失礼でしたか・・?」

「いや、本当の事だからな」

というより、俺も入っているのだろうか。

その辺が心配でならない。

「ねぇねぇ、今日は転校生祝いでドリに行こうよ!」

いつも行ってるくせに。

「あそこのチョコプがおいしくて安いの!幸恵ちゃん行こ〜」

「あ、は、はい。わ、わかりました」

「じゃ、アンタも来てね」

「何故だ?」

「何故って・・勘定係よ」

またそれか。

昨日あれだけ悪い事したなって顔してたじゃないか。

ひょっとして・・演技だったのか。

だとしたら、女は怖いものだな・・・。

「いいんですか・・?」

「ああ、まぁお祝いって事なら」

「毎日がお祝いだったらいいのにね〜」

美亜ちゃんが子供のような発言をする。

「払う身にもなってくれ」

「今回だけだって」

「今回だけがどれだけあるんだ、圭」

キ〜ン コ〜ン カ〜ン コ〜ン

「あ、次体育じゃなかったっけ?」

「じゃあ急ごうか。幸恵ちゃんも行こう」

「は、はい・・・」

・・・・。

うまく逃げられた。

「・・・まぁいいか」

いつもこれで済ます俺。

それが不幸を呼んでいるワケなんだがな・・。


俺も授業に遅刻しないように急いで着替えに移った。




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