出会いと別れ




自室。

俺はさっそくメールを打つ。


「お前は誰だ?」


最初はこれでいいか。

というより、もうどうでもよくなってきたが・・。

しかし気になるので続ける俺。


ピポッ


送信完了の画面を見て、一息する。

「・・・妙だ」

何故俺のアドレスを知っていたのか・・という事もさることながら、 やはり懐かしいという感じで溢れている。何故だろう。

面識のある人間なんだろうか・・。

「ひょっとして圭・・美亜ちゃん・・・」

いや、違う。

あの二人の性格上、めんどくさがってこういう事はやらないはずだ。

からかい半分でなら考えられるが。


ピロリロッ ピロリロッ ピロリロッ


着信・・・早いな。


「アナタに会いたい・・・」


「・・・?」

おかしいな・・・。

何故この文だけなのだろうか。

やはりイタズラなのだろうか。

「・・・もういいか」

俺は完全に無視することにした。

だが、いまだに懐かしさが残っている。

しかし、あれこれ考えているうちに、俺は眠りについた。







翌日。

「・・・・」

時計に目をやる俺。

「も、もうこんな時間か!」

走っても間に合わない時間だ。

だが、遅刻はなるべく避けなければならない。

「あれ?」

「あ、おはよー」

目の前には圭がいる。

「おはよーって、お前、遅刻するぞ」

「アンタが起きないからでしょうが」

「うっ・・・」

「待っててあげたんだからね〜、感謝しなさい」

待ってもらったからといって、遅刻を回避できるわけじゃない。

「・・・・」

「・・ん?お前妙に息切れしてるな」

圭の呼吸が妙に激しい。

「な、何言ってんのよ、アタシはずっとここで待ってたんだからね」

ウソくさい。

おおかた、こいつも遅刻ギリギリで、走って来たのだろう。

「はぁ・・・・はぁ・・・」

ヤケに息切れが激しい。

「さぁ、着替えるから出て行ってくれ」

「う・・・うん・・・・・・」

ドサッッ

その時、圭が倒れこんだ。

「・・どうした?」

「んん・・・・苦しい・・・」

よく見ると、圭の顔は真っ赤だ。

「苦しい?まぁ確かに顔色は悪いな・・」

俺は圭のオデコに手をやる。

「お、お前、こんな熱で来てたのか!」

すさまじく熱気を発している。

「だ、大丈夫よ・・・ちょっと、フラついただけ・・」

「フラついただけのものか。歩けないだろう、少し横になれ」

「ダメよ・・遅刻しちゃう・・」

いつもの圭とは思えぬ、弱々しい声だ。

「もう時間的にとっくに遅刻しているから大丈夫だ」

俺は圭を俺のベッドに無理矢理倒しこむ。

「な、なにするのよ・・」

「いいから寝てろ」

「・・・・うん」

「珍しく、納得したな」

「・・バカ」

「俺はどうせバカだ」

「・・フフフ」

「笑う要素は無い」

「アンタの天然・・・ホントおもしろい・・・」

「病人は喋るな」

「はーい・・」

やがて、圭は眠りに落ちてしまった。

俺は学校に連絡するでもなく、ただそこに居合わせただけだった。

ずっと圭の寝顔を見ていた。

時々、うなされるような顔をする。

おもしろい。





・・そろそろ12時を回った。

圭には起きる気配がない。

「・・・・」

俺はその場を去ることにした。

学校に行くでもなく・・・。


ピロリロッ ピロリロッ ピロリロッ


着信だ。

多分美亜ちゃんだろうか。


「アナタに会いたい・・・」


違った。

またイタズラメールだ。

・・・待てよ。

これで圭がイタズラで送ってくるという事は無くなったわけか。

なぜなら、当人が目の前で眠っているからだ。

「まぁ、無視するか・・」

俺は昼飯を買いに、外に出かけた。

親がいなくてよかったのか悪かったのか。

なんとも複雑な気分だ。







俺はコンビニで買い物を済ませた。

わざわざ遠くまで出る必要もないし、なにしろ、ここの物で済んでしまうからだ。

コンビニってのはつくづく便利だと思う。

「キャアァァァァァァァァァ!!!」

不意に後ろで誰かの叫び声がする。

「・・・?」

俺は後ろを振り向く。

そこでは、ケンカのような光景があった。

男と女か。

しかし、女のほうには見覚えがある。

「・・・なんで幸恵さんがここに」

幸恵さんだった。

しかし、学校にいるはずなのに・・。

何故だ。

「おい姉ちゃん、人にぶつかっておいて挨拶も無しかい。しかも大声で叫びやがって」

「す、すみません、あ、あの、私、その・・」

典型的なシーンの一つだ。

しかし、この場はケンカというより、幸恵さんがからまれた、ということになるのだろうか。

俺は助太刀に入る。

・・いや、救出を試みる。

「おい」

「あぁん?なんだテメェ」

「あ・・・・」

「大丈夫か幸恵さん」

「あ、あ、はい、大丈夫です・・」

「わかった、下がってろ」

「は、はい」

「コラコラ、何勝手なことしてんだオイ」

「勝手なことをしているのはお前の方だ。こんな時間に学校をサボって遊んでいるのか?」

「おい兄ちゃん、そりゃアンタの事じゃねぇか?」

「ぎゃはははははははは」

連れの男が笑う。

相手は二人、ケンカ経験の少ない俺が勝てるだろうか。

いや、その前に早く家に戻らないと・・。

圭が腹をすかせて待ってるだろう。

まぁ寝ていれば問題無いんだが。

「さて兄ちゃん、その女の代わりに殴らしてもらうぜ」

「殴られる理由は無い」

「減らず口を叩くな!」

ブォォォォォォォォォォォン

男が大ぶりのパンチを繰り出す。

俺は後ろに下がってかわした。

「とにかく、謝れば済むことだろう」

「謝ってなかったから済まないんだよっ!」

連れの男が叫ぶ。

「屁理屈を言うな。小学校からやり直して来い」

「何だとコノヤロウ!」

連れの男が殴りかかる。

パシィィッッッッ

俺はすんなりと止める。

「先にやってきたのは貴様らの方だからな」

ドゴッッッッッ

「ぐぇっっ!」

俺は連れの男にパンチをおみまいした。

ドサァッッッ

一発で倒れる。

「テメェ!!」

「だから言っただろう。先に手を出してきたのはお前等だって」

「チッ・・・おい行くぞ」

「ぐっ・・ま、待ってくれよ〜」

男たち二人は去っていった。

「だ、大丈夫でした?」

幸恵さんが寄って来る。

「・・・・・」

何故幸恵さんがここにいるのだろうか。

ひょっとしてサボりか?

「学校はどうした?」

「え・・・お昼ですけど」

「外に出てはいかんぞ」

「そ、そうなんですか?」

「購買があるだろう。そこで済ませなきゃダメだ」

「購買・・知りませんでした」

まぁ 転校生だからしょうがないか。

「と、ところで、アナタは・・?」

「え?」

しまった。

俺は学校に行っていなかったんだ。

つい、いつもの調子でこの辺りまで出てきてしまった。

「・・・・」

ダッッ

「あ・・!」

俺は逃げ出した。

学校に行ってないのにここにいるのがバレるのはマズイ。

いや、それ以前に、俺の家に圭がいるのがバレたらマズイ。

俺は一目散に走った。

しかし、余計怪しまれるのではないだろうか。

後悔先に立たずってヤツだな。

後ろを振り向くと、もう幸恵さんの姿は無かった。




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