Melody




「八木羅さん!」

京眼(またまたニューフェイス!)に、ロングの似合った可愛い女の子が映っている。

「飯田君・・・?」

八木羅さんはビックリしたような、でも冷静を装っているような声で返した。

目が少し潤み気味で、でもそこには何か未来を見据えたモノがあって。

実にキレイな瞳をしている。

「どうしたの、こんな所まで」

「いや・・・・・・」

えっと・・・・・・。

何から話せばいいのだろうか。

君は危ない人だ!

いや、違う。

わざわざそんなコトを言いに来るアホがいますか。

君は大丈夫?

うーん、何だか小バカにした気持ちが滲み出ている気がするなぁ。

萩野は?

・・・・・・僕は萩野を追ってきたワケじゃない。

八木羅さんに会いに来た。

・・・コレ、いいんじゃないか?

実質ウソは言っていないワケだし、軽く遠回しの表現にもなっている。

それでいて八木羅さんに好意を抱いていて、裏があるコトを相手に先に

思わせてしまうという言葉じゃないか。

よし、コレでいこう。

・・・待てよ。

どうしてココに八木羅さんがいるのだろうか。

まずはそこから疑問を持たなければならないのじゃないか。

第一、ココは雪野さんの不満のぶっちゃけ口だし、

八木羅さんが一人で来るような場所では無いような気がする。

それに学校で見かけた八木羅さんは何だったのか。

面白いくらいに矛盾がよぎる。

そんな思いの中、八木羅さんに会いに来るコトもおかしい。

・・・なんなんだ、この気持ちは。

やるせなせにも似た、ひどく嫌悪的な感情は。

京脳が確実に回転率を低くし始めた。

「私、詩を思い浮かべるコトが好きなの」

八木羅さんが話し出す。

「小さい頃から、それしか出来なかったから」

・・・この発言に深い意味はあるのだろうか。

「高校に上がって、真咲と出会って、音の素晴らしさも知った」

八木羅さんが少し歩き出した。

僕も続く。

「よくココで、陽が昇るまで真咲と語ったりもした」

「・・・うん」

というか、僕が喋るタイミングは完全に消え去ってしまった。

それどころか、何故僕がここに来たのか、それさえも闇に包まれている。

・・・まぁ、どうでもいい。

「でもね・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・ううん、なんでもない」

・・・なんだろう、かなり気になるなぁ。

でも・・・でもなんなんだ。

何だか悪い報せが届く一歩手前という感じがしてイヤだ。

「それで、飯田君は?」

「え?」

「どうして、ここに?」

「いや・・・・・・」

マズイ、かなりペースが崩れている。

というより僕のペースなど元から無いような気もするが。

「私に会いに来てくれたの?」

八木羅さんは少し笑いながら言う。

・・・なんてドキドキさせる発言をするんだろう。

京ハート(ちょっと無理がある)の打ち込みが激しくなる。

「今日、学校に来てたよね?」

これくらいの発言が精一杯だった。

いや、もしかしたら、意外とイイ線をついているかもしれない。

現にそれは僕も気にしていたトコロだ。

「うん」

「でも、雪野さんが今日は見てないって・・・」

「あぁ、私ちょっと気分悪くなっちゃって、それでここに来たんだ」

「朝から?」

「うん。この場所、好きだしね」

とは言っても、いくら好きな場所でもそんなに長い時間いられるのだろうか。

でも八木羅さんの発言にウソは無さそうだ。

「ねぇ、詩でも作らない?」

「え?」

これは僕も予想だにしなかった急展開だ。

「飯田君の詩、好きなんだ。似てるかもしれないの」

そういえば雪野さんがそんなコト言ってたかな。

「同じ者同士作れば、きっといい詩作れると思うの」

「うん・・・・・・」

ここまで来て、やっぱりいいですなんて言えない。

いや、むしろ僕は八木羅さんとなら何でもやってみたい。

詩を書くのだっていい。

実際得意でもなんでもないけど、八木羅さんが好きって言うのなら。

「じゃあ、一行ずつ言い合う感じで、ね」

八木羅さんが笑みを浮かべながら顔を空に向ける。

きっと空を見てると、考えがまとまるタイプなんだろうな。

・・・なんかそれイイ。

ロマンティックというか、こう、ホラ、ね。

京脳がグングン加速していく。

「じゃあ最初は私からね」

「あ、ちょっと待って」

「えっ?」

「テーマとか、決めないの?」

「テーマ?」

「例えば、海をイメージしたり、とか」

「そうね。その方がいいかも」

八木羅さんは相変わらず笑顔だ。

なんだか京脳の調子がすこぶる良いらしいぞ。

「じゃあ、何にする?」

「・・・・・・空、なんてどうかな」

「空、ね。うん、わかった。飯田君、やっぱりセンスあるな」

「え?なんで?」

「私、空が好きだし、それに、この前一緒に星を見たしね」

少し照れくさそうに言う八木羅さん。

・・・・・・可愛い。

「あぁ、なるほど。でもセンスなんか無いよ」

本当は八木羅さんが見てたからなんとなく、なんて口が裂けても言えない。

「じゃあ、始めよっか」

八木羅さんは静かに目を閉じた。




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