Melody




「・・・・・・・・・」

僕は何だかよくわからないまま、自分の部屋に立ち尽くしていた。

「う〜ん・・・・・・」

別に何を考えるでもなく、ただ、立っていた。

「・・・・・・・・・」

窓を開けてみる。

風は・・・・・・無い。

湿りきったこの空間は居心地が悪い。

・・・もう、寝てしまおうか。

それで今日のことは何も無かったコトにしてしまおうか。

それが一番楽なんじゃないか。

「・・・・・・・・・」

いや、考えなきゃ。

考えなきゃ始まらないんだ。

何が起こったのか、そして二人の行方を。

・・・だけど、何もわからない。

僕はただ倒れていて、そして気がついたら気がついていた。

・・・何だか日本語までおかしくなってきた。

「そう・・・殴られたんだ」

上佐賀さんに殴られた。

確か、そうだった。

何処を殴られたんだっけ?

体のあちこちを手で触ってみる。

「・・・・・・・・・」

特に何処が痛いというワケでもない。

じゃあ僕は殴られていないのか?

「いや、でも・・・・・・」

確かに、上佐賀さんのワンパンを食らった気がする。

痛みは無いけど、上佐賀さんに殴られた。

何故だかこれだけはハッキリ言えてしまう。

だけど、やっぱり不可解なのは、痛みが無いコトと、八木羅さんの行方。

まぁ前者はどうでもいいとしよう。

問題は後者。

八木羅さん、と上佐賀さん。

気がついたらいなくなっていた。

一体何処に消えたんだろう。

「・・・・・・・・・」

待てよ。

確か八木羅さんもワンパンをくらったんだっけ?

遠ざかる意識の中、なんとなくそれらしい光景を見た気がする。

こう、僕に向かってきた拳を、後頭部で受け止めてた、そんな感じ。

それで上佐賀さんはビックリしちゃって、で・・・・・・。

ダメだ、そこからは完全に思い出せない。

・・・もしかしたらそこで意識を失ったのかもしれない。

まぁ元から失ってたみたいなものだけど。

でも、ちょっとは見えてきたかもしれない。

「京脳・・・冷静になって考えるんだ・・・・・・」

僕は気絶して、いや、どれほど気絶してたんだろう。

誰も僕を助けてくれなかったコトから、そんなに時間が経ってるとは思えない。

・・・いや、その前にあんなところに人が通るワケもないか。

「う〜ん・・・・・・」

おそらく八木羅さんもかなりのダメージをおっていたハズだ。

男の僕でさえ一撃でギブったのだ。

女の子があんなのを、しかも後頭部なんかにマトモに喰えば、

ハッキリ言って意識をとどめていられるコトはまず不可能だ。

とすると、上佐賀さんが八木羅さんを何処かに拉致したのか?

拉致・・・する必要があるのかな。

うん、この場合、拉致というより病院に運んでいったというコトなのだろうか。

・・・僕のコトなんて放置だったけどね。

まぁ、今は色々考えるコトも出来るし、別にどうでもいいんだケドネ!(軽く涙目で)

「八木羅さん・・・・・・」

無事でいてほしい・・・。




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