Melody




「よう!!」

朝っぱらから裕太に出くわしてしまった。

・・・今日の運勢は最悪らしい。

「なーに辛気臭ぇ顔してんだよ!」

君の存在が辛気臭い・・・とはさすがに言えずに、

「あ、なんでもないよ」

と、笑顔で返す僕。

少しばかりか紳士的態度な自分に惚れてしまった♪

・・・・・・京脳、やめてくれ。

「でもよ」

いきなりマトモ(真面目って書かない京君ってお茶目★)な顔して近づいてくる裕太。

「八木羅、今日も学校に来てねぇってよ」

「そうなんだ・・・」

八木羅さんと上佐賀さんが失踪してから一週間が経っていた。

失踪なのかどうかはわからないけど、二人とも学校にも来ていない。

周りの噂によると、何処か遠くへシケ込んだとか、

八木羅さんを山に埋めに行ったとか、とにかく色んな情報が入ってくる。

・・・的確な情報が一つも無いだけに、少しばかり腹が立ってしまう。

「おはよ!」

「おーおはー」

雪野さんも合流した。

「京君、ちょっと話があるんだけど・・・」

「え?」

裕太に引き続き、雪野さんも真面目な顔をして切り出してくる。

「昨日、菜乎のコト見たって子がいるの」

「え・・・!?」

京脳が煮えくり返る。

「上佐賀さんはいなかったみたいだけど・・・」

みたいだけど・・・?

「何か、顔がヤバイって言ってた」

「顔がヤバイ?」

いまいち理解出来ない文が脳に入り込む。

「うん・・・精気が無いっていうか、菜乎じゃないっていうか」

「・・・・・・・・・」

きっとこの一週間、大変なコトがあったんだろう。

「もしかしたら、まだこの辺にいるかもしれないよ」

「この辺で見かけたの!?」

「うん、あの川原の近くだったって」

あんな場所に、何をしにいったっていうんだ・・・?

上佐賀さんとのコトもあったし、色々思い出したくないコトもあったはずだ。

「ねぇ京君、今から行ってみない?」

「今から?」

「うん。なるべく早めに行った方がいいと思うんだ」

確かになんとなくそういう気持ちはわかるけど、

学校をサボってまで行かなきゃいけないものなのだろうか。

実際僕の中での八木羅さん像は、次第に薄れてきていた。

一週間も姿をあらわさないし、会ったところで何を話せばいいのやら。

京脳が徐々にダウンしてきた。

「授業はどうすんだ?」

裕太がここぞとばかりに発言してきた。

「そんなモン・・・どうだったいいじゃない」

何故だろう・・・。

雪野さんがいつになく熱くなっている。

それは表面的には出していないものの、内面的には

相当ボルテージが上がっているとみられる。

・・・そういえば、八木羅さんと雪野さんは大の親友だったんだ。

お互いがお互いを必要としている・・・多分そんな仲なんだろう。

「僕も、今行かなきゃって、思ってる」

何だかカタコトな言語を喋ってしまったが、今はそんなコトどうでもいい。

「良かった。じゃあ、早く行こう!」

別に八木羅さんに会いたいとかじゃない。

会わなくちゃいけない気もする。

特に話をするワケでもない。

だけど、だけど・・・・・・。

僕にとっての彼女の存在を知りたくもある。

また、その逆も然り。

それに上佐賀さんのコトだった気になる。

・・・なんだろう、探しに行くってコトになった瞬間、

京脳、京脚、京眼、京全て、うん、全てが活発的になってきた気がする。

朝のけだるさが抜けただけかな・・・。

とにかく、八木羅さんと会わなくちゃ!!













「居た?」

「いや、いねぇな」

川原に着いて探し始めてから2時間くらいが経った。

だけど八木羅さんは一向に姿を見せない。

「もう全部回ったよね?」

「あぁ」

「ここじゃないのかな・・・京君?」

「ん?」

「菜乎と二人で行った場所とかある?」

雪野さんは何の躊躇もなくピンポイントな発言をしてくれる。

「いや・・・」

実際ほとんどの場所をチェックしたけど、

八木羅さんどころか人っ子一人として存在していなかった。

「でもこの街の何処かにはいると思う」

「私も・・・」

「おいおい、二人ともエスパー能力でも持ってんのか?」

何だか裕太に対して腹が立ってきた。

「僕は、勘なんだけど、そんな気がするんだ」

「私も勘。絶対菜乎はいるはず」

「ん〜なんだかよくわからないけど、とりあえず探してみるか!」

なんだかよくわからないってのは余計だ。

「私は菜乎の家の近くとかに行ってみるよ」

「俺は学校の方に戻ってみる。もしかしたら二人そろって登校してるかもしれねぇしな」

う〜ん・・・裕太の考えはそれらしいけど、まさか学校にいるとは到底思えない。

雪野さんにしても、家にいるんだったら連絡くらいあるだろうし・・・。

「京君は?」

「僕は・・・もうちょっとこの辺を探してみる」

「わかった。じゃあ、もし見つかったら、連絡よろしくね」

雪野さんは走っていってしまった。

「ふぅ・・・俺も行くとしますか」

裕太は渋々といった感じで歩き出した。

「・・・・・・・・・」

皆には言わなかったけど、僕にはもう一つ心辺りがある。

僕と八木羅さんの思い出の場所。

そして、別れの場所。

上佐賀さんと争ったあの場所だ。

僕にはもうそこしか考えられない。

そこにいなかったらとしたら、八木羅さんはもう何処にもいない。

もしかしたら死んでしまったのかもしれない。

「いや・・・」

マイナス的思考を始めるのは結果を見てからだ。

とにかく急いで向かおう!




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